新型コロナウイルス感染症の労務管理対応について
- その他
新型コロナウイルス感染症による感染者が職場でも発生することが
現実になってきました。
そこで、一般社団法人 日本渡航医学会、公益社団法人 日本産業衛生学会
が発行している「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(第4版)」より
抜粋し、一部岡山市の情報など付け加えたものをまとめてみました。
職場で感染者がでたとき、すばやく適切な対応が必要になりますので
これらを参考に休業、復職などの危機管理マニュアルなど作成してください。
日本産業衛生学会HP
https://www.sanei.or.jp/?mode=view&cid=416
【従業員個人が行う感染予防の基本】
- 健康状態のモニタリング
- 発熱や風邪症状がある場合は出社させない
- 発熱はないが、体調不良を自覚する場合は出社させない
- 勤務中に発熱、体調不良を訴えたときは直ちに帰宅させる
- 手指衛生およびマスクの着用
- 手指衛生やマスク着用は必須とする。また、顔や目をむやみに手で触らないことに注意する。
- 手洗いの基本は水道水と石けんを理由することで、手指の表面に付着したウイルスを洗い流すこと。水道水が利用できない環境では、アルコール消毒液(60~90%)を使用すること。
【発熱や風邪症状などの体調不良者への対応】
- 発熱や風邪症状の体調不良を認める場合は、かかりつけ医や最寄りの医療機関、自治体が設置する受診相談窓口に相談
- 岡山市新型コロナウイルス受診相談センター(かかりつけ医がいない場合)
TEL 086-803-1360(9~21時)
- 岡山県新型コロナウイルス感染症電話相談窓口(一般的な相談)
TEL 086-226-7877(24時間対応)
https://www.city.okayama.jp/kurashi/0000021429.html
- PCR検査を受けていない者の職場復帰の目安
[次のいずれも満たした状態で職場復帰させる]
- 発症後に少なくとも8日間が経過している
- 解熱後に少なくとも72時間が経過しており、発熱以外の症状(咳、倦怠感、呼吸苦など)が改善傾向である
(解熱剤などを服用していないこと)
上記期間の休業が困難な場合、出来る限りPCR検査を受けるようにする。
それができない場合、事業所の責任のもと以下の対応をとることもやむを得ない
- 発熱や風邪などの症状が消失し、少なくとも72時間が経過しているとき、状態を確認して復職させる。
(治癒証明や陰性証明の請求はできるだけ控えること)
風邪等の症状による休業期間は無給として扱う
【感染者への対応】
- 従業員が感染した場合
感染者や濃厚接触者が発生した場合、保健所等の指示に従うことを原則とする。
- 差別の禁止
- 感染者、家族や同僚に対して不当な差別や偏見を行わないこと
- 不確かな情報をもとに、いやがらせ、いじめ、退職勧奨やSNS
- 保健所との連携
- 保健所との連絡対応者を決めておく
- 感染者との接触者の記録、職場の配置図を準備する
- 必要に応じて執務エリアなどの消毒の範囲を確認し、実施する
- 療養の開始
- 保健所および医療期間の指示に従い療養を開始する
- 無症状や軽症者は、入院ではなく自宅療養や宿泊療養を指示される
- 宿泊療養または自宅療養が選択できる場合は、従業員に対して宿泊療養を推奨することを周知しておくことが望ましい
(症状急変時や適時適切な対応が可能となり、同居者へのリスク回避のため有効)
- 感染した従業員の職場復帰
感染者は発症2日前から発症直後が最も感染性が高く、発症後1週間程度で感染性がほぼ消失すると考えられている
[次のいずれも満たした状態で職場復帰させる]
- 発症後(ないし診断確定後)に少なくとも10日間が経過している
- 解熱後に少なくとも72時間が経過しており、発熱以外の症状(咳、倦怠感、呼吸苦など)が改善傾向である
(解熱剤などを服用していないこと)
職場復帰するまでの休業期間は無給として扱う
- 従業員が濃厚接触者と判断された場合
原則として、すべての濃厚接触者に対してPCR検査が行われる
- 保健所の指示に従うこと
保健所の指示による休業期間は無給として扱う
ただし、事業者独自の判断で、濃厚接触者や濃厚接触者以外の者に自宅待機などを命令する場合、休業手当または通常の賃金を支払うこと
【その他】
- ハイリスク者への配慮
以下の重症化のリスクのある方に対しては、就業上の配慮を行うこと。
- 65歳以上の高齢者
- 慢性閉塞性肺疾患
- 慢性腎臓病
- 糖尿病
- 高血圧
- 心血管疾患
- 肥満(BMI30以上)
- その他(喫煙歴、妊婦、悪性腫瘍など)
就業配慮の例
- 時差出勤や自家用車通勤など
- 在宅勤務や自宅待機措置
- 通院中の従業員には、受診が継続できるよう配慮
- 希望による産業医や保健師との面接機会の確保
- 不特定多数の者との接触する業務の回避
- 換気の良い場所での業務を行う
- 流行が拡大している地域への出張を控える
- 休暇制度の新設など
- 陰性証明について
PCR検査には、一定数の「偽陰性」「偽陽性」が存在し、また検査時には陰性でも、その後陽性となる可能性もあり、確実な安心にはつながらない、また医療機関の負担もあることから陰性証明の医療機関への請求は控えることが望ましい。
出典 「職域のための新型コロナウイルス感染症対策ガイド(第4版)」
一般社団法人 日本渡航医学会
公益社団法人 日本産業衛生学会